August 30, 2010

週刊isologue(第74号)「週刊isologue」の2010年1月から8月までの総集編

残暑お見舞い申し上げます。

今週は2010年以降の記事を一覧する「総集編」をお届けします。
(リンクはブログでの紹介にリンクしています。)

 

詳細は、以下をご覧下さい。

続きを読む "週刊isologue(第74号)「週刊isologue」の2010年1月から8月までの総集編" »

 


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August 23, 2010

週刊isologue(第73号)未公開会社の資金調達と募集のあるべき姿

先日、日本証券業協会から「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について(案)」という文書が公開されました。

その変更案の内容は、平たく言うと
未公開株詐欺を防ぐために、未公開の段階で個人株主向けに募集をした会社は原則として上場できない
というものでしたが、これは詐欺の抑止効果も期待できない上、未公開会社の資金調達を著しく阻害することにもなると、多くの批判が行われました。

〆切の今年7月1日までに370件ものパブコメが集まり、協会は翌7月2日に、7月20日に予定していたこの規則の施行を延期するとともに、この案の取扱い等についてあらためて議論をすることになりました。
(協会のプレスリリースはこちら。)

 

しかし、この規制については協会が公式にまだ「完全にやめます」と決定したわけではないようですから、問題がこれで終わった訳ではありません。
この改正案に反対のパブコメを送っていただいた方も、まだ安心していただいては困るわけです。

 

この改正案は、未公開株詐欺を減らそうと知恵を絞った結果出て来たものだと思いますし、未公開株詐欺が存在するという問題はまだ無くなっていません。

そして、今回のような多くの人の反対を招く改正案が俎上に登ったということは、未公開会社の株式による資金調達の実態が(証券のプロ中のプロであるはずの日本証券業協会の方々にすら)知られていない、ということがあると思います。

これは、決して日本証券業協会の方々を非難したりイヤミを言っているというわけではありません。
そのくらい、日本では未公開株式に関する実情が知られていないということだと思うのです。

このため、今週は、日本の未公開会社の資金調達の現状と、日本の今後を考えて、未公開会社の資金調達をどう考えていけばいいのか、ということについて整理してみたいと思います。

 

今週の目次とキーワードは以下の通りです。

  • 協会の改正案についての現状
  • 未公開株式募集の問題の本質
  • 例で考える規制の問題点
  • 借入の問題点
  • 個人保証の問題点
  • 無担保無保証の借入金だったらいいか?
  • 優先・劣後関係から考える
  • 調達方法別の規制
  • 株式会社(株式)の場合の規制
  • 「集団投資スキーム」の場合の規制
  • 米国の「Regulation D」をそのまま日本に輸入すればOKか?
  • 日本に必要なのは、未公開株投資への規制ではなくサポートである

 

以下、最後の結論部分だけ、こちらにも掲載しておきたいと思います。

 

■日本に必要なのは、未公開株投資への規制ではなくサポートである

前述のとおり、未公開株式への投資というのはちゃんとやろうとすると極めてややこしいのですが、プロがこれに適法に関わることが非常に困難になっています。

本来、未公開株式の資金調達には、最も(上場株式よりもさらに)専門家のアドバイスが必要なのに、誰もタッチできないようになっているというのは本末転倒ではないでしょうか?

ベンチャー企業に必要なのは、(「資金」の「量」ではなく)、まさに、そうした的確なアドバイスや、交渉への援護射撃です。

例えばですが、こうした中堅中小企業の実務に関わる専門知識を持つ弁護士・税理士・公認会計士、第二種金融商品取引業や金融商品取引法63条の特例業務のベンチャーキャピタル等、できるだけ幅広い人を適格と考えて、ベンチャー企業の資金調達を大っぴらに手伝えるように(つまり「セーフハーバー」に)してやることで、日本のベンチャーの起業は活発化する可能性があるのではないでしょうか?

詐欺抑止効果には限度がありますが、専門家が企業の増資に立ち会うことが常態となれば、適正なファイナンスが実行される度合いは高まるのではないかと思います。
それぞれの職業における法律や倫理規定等とも照らし合わせる必要がありますが、いい手である可能性があるのではないかと思います。

 ---

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(ではまた。)

 

 


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August 23, 2010

アゴラ連続セミナー「ベンチャー企業のファイナンス講座(上級編)」

(遅ればせながら、こちらでも告知させていただきます。)

1月に行ったアゴラ連続セミナー「起業家のためのファイナンス講座」は大変ご好評いただき、「次回、上級者向けにもっと具体的な講義をしてほしい」といったご要望もいただきました。

1月の講座は、これから起業した前後の起業家の方を対象の中心としたものでしたが、今回は「ベンチャー企業のファイナンス講座(上級編)」と題して、ベンチャー企業を支える、そうしたある程度知識のある方や専門家の方々(ベンチャー企業のCFO、経理・財務部員、税理士、公認会計士、司法書士、弁護士、行政書士等の方々、その他ベンチャー関係のコンサルタントの方々など)を中心としたセミナーにしたいと考えております。

内容は、前回のものと異なり、実際にスプレッドシート等を使って、事業計画、資本政策等、起業家のためのより実践的・専門的にファイナンスの知識をお伝えし、ベンチャー企業のファイナンス実務の業務に繋げられるようにしたいと思います。

■講義内容■
・事業計画の立て方と企業価値
・ストックオプションはどう設計するか?
・資本政策、投資家との交渉の実際
・種類株式、投資契約
等の内容を、4週に分けて講義する予定です。

■開催のご案内■
日時:2010年9月8日、9月15日、9月22日、9月29日(毎週水曜)18:30〜20:30
会場:会場:T's渋谷フラッグ(地図 行き方
定員:30名(先着順で締め切ります)

■受講料■
一般…120,000円/学生60,000円
☆早期割引あり☆
8月27日までのご入金については下記の通りとなります。
一般…100,000円/学生50,000円

■お申し込み方法■
まずはお申し込みフォームからエントリーをお願いいたします。
フォームに記載の口座へのご入金確認を以てお手続き完了となります。
入金数が定員に達し次第受付を締め切らせていただきます。

(ほぼ同じ内容ですが、アゴラにも案内があります。)

 

よろしくお願い致します。

 

(ではまた。)

 


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August 16, 2010

週刊isologue(第72号)Intel・ARM・Apple - プロセッサの戦いを財務的に見る

ここ数年、「ウィンテル」(すなわち米Microsoft社のWindowsとIntel社製のCPU等を組み合わせたパソコン等)の時代が終焉したといった記事をよく見かけます。

しかし(仮に本当に終わるとして)「ウィンテルが終わる」ということは、WindowsとIntelが両方終わることを意味するんでしょうか?
Windowsは無料のOSなどの攻撃にさらされていますが、IntelはPCだけでなくAppleのMacなどにも採用されていますし、競争構造が大きく異なるように思えます。

そこで今週は、(Windowsはさておいて) Intelの時代が終わりつつあるのかどうか、今後のプロセッサの市場の競争がどうなっていくのか等について、財務的な観点から眺めてみたいと思います。

 

今週の目次&キーワード:

  • 各社の株価推移
  • 時価総額比較で見る実力
  • Intelの業績(PC、サーバー向け等、セグメント別含む)
  • AMD、ARMの業績
  • まとめ

 

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(ではまた。)

 


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August 9, 2010

週刊isologue(第71号)防衛産業を財務的に考える(ロッキード・マーティン社)

日本の夏は、広島、長崎、御巣鷹山、お盆、終戦記念日と、防衛・航空機産業を考えさせられるイベントが続きますので、今週も「防衛産業を財務的に考える」シリーズとさせていただきました。

今週は、世界防衛関連企業No1のロッキード・マーティン社を取り上げてみたいと思います。

今週の目次とキーワード:

  • ロッキード・マーティン社の概要
  • ロッキード事件
  • セグメント別売上
  • スカンクワークスの規模
  • 国別セグメント売上

 

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August 2, 2010

週刊isologue(第70号)防衛産業を財務的に考える(世界編)

今週の「週刊isologue」は、先週に引き続いて、世界全体に目を移して防衛産業を見回してみたいと思います。

今週の目次とキーワードは以下の通り。

  • 日本の「防衛関連」企業の世界の中での位置付け
    三菱重工、三菱電機、川崎重工、NEC、富士通
  • 戦略コンサルティングファームが防衛産業?
  • 米防衛費予算のものすごさ
  • 国別のランキングと開発費コスト戦略

 

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August 2, 2010

「ピク メディア」でCFOを募集しています!

先日、私が社外監査役に就任させていただきましたピクメディア株式会社でCFOを募集してるので、ご紹介まで。

 

ピク メディアは、「日本初、日替りクーポンサイト」の「Piku」


201008020636.jpg

 

を運営している会社。

こちらでも書きましたが、先日までありえないようなギューギュー詰めオフィスでみんな働いていて、株主総会も屋外でやっていた状況ですが、つい2週間ほど前に千駄ヶ谷の新オフィスに引っ越したばかりで、今も、毎日のように新メンバーが参加してきている会社です。
(この新オフィス、地図で見ると線路と高速道路に挟まれてゴミゴミした感じにも思えますが、7階なので、山手線や明治神宮の緑が見渡せて、非常に見晴らしがいい。)

ベンチャーではありますが、先日6億5千万円調達したばかりなので、明日お金が無くなるということは(多分)無いと思います。:-)

どんな人がいいか詳しくは聞いてませんが、社長のDave氏曰く「we are only looking for the best and the brightest」とのこと。

基本的に、役員をはじめ英語が母国語の人が多いし、株主も国際的なので、英語がちょっとは話せた方がいいと思います。
議事録等も今まで見た限りでは、英語(または英語と日本語両方)作ってるようですし、海外投資家がいるので種類株式などもあり。ベンチャー企業なので、ストックオプション、増資からはじまって、いろいろなことが体験できると思います。
start-upで腕をふるってみたいという人にとっては、またとない面白いポジションじゃないかと。

たぶん滅茶苦茶忙しいと思うので、体力に自信がある人のほうがいいかも。

社外監査役からの希望としては、「light side of the force」の強い人がいいですね。:-)

 

応募される方は、201008020709.jpg まで連絡してみてください。
(スパム防止のため画像にしています。)

 

以上、ご紹介まで。

 

(ではまた。)

 


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July 26, 2010

週刊isologue(第69号)防衛産業を財務的に考える(三菱重工を題材に)

韓国の哨戒艦沈没事件を受けて米軍と韓国軍が合同演習を始めるなど、日本周辺もいろいろバタついて来ていることもあり、本日は日本の防衛産業というのは、どんな感じなんだろうかということを財務的な側面から見てみたいと思います。

今回は代表的企業として、三菱重工(三菱重工業株式会社)を取り上げ、同社の有価証券報告書を中心に考えてみます。

 

今週の目次とキーワード:

  • 三菱重工の沿革(「龍馬伝」の時代から現在まで)
  • 主要な経営指標(なんと、ほぼ同規模のソフトバンクと比較してみました:-)
  • 防衛省向け販売実績
  • 財務的に考えた、日本における防衛産業ビジネスモデルの限界
  • 「重要な技術ライセンス契約」
  • ソフトバンクとの対比で三菱重工の有利子負債、格付を考える

 

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(ではまた。)

 

 


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July 19, 2010

週刊isologue(第68号)平成22年3月期新聞社決算を読む(産経、各社リストラ)

本日は三連休中でもありますので、先週の週刊isologueは「平成22年3月期新聞社決算を読む」の続きを、あっさり目でお届けします。

目次とキーワードは以下の通り。

  • 産業経済新聞社:業績の概要
  • 産業経済新聞社:株主構成の変化
  • 役員持株会はなぜ大株主からはずれたか?
  • 役員の株式はいくらで売れたのか?
  • 役員報酬カットはかなり厳しい?
  • 各社のリストラ進捗度合い
  • 朝日新聞社の状況(本体と関係会社の関係、原価削減の謎)
  • 毎日新聞社の状況
  • 産業経済新聞社の状況
  • 「労働組合の状況」から見る各社従業員のストレス度
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July 14, 2010

Pikuの社外監査役に選任されました

本日午前中に開催されたピク メディア株式会社の臨時株主総会で、社外監査役に選任されました。
こちらのプレスリリースご参照。)

「日本初、日替りクーポンサイト」の「Piku」は、ある一定人数以上の購入希望者を集めることで、レストランやマッサージなど、いろいろな商品やサービスを、50%引とか場合によっては90%引きといったお得な価格で購入することができるサービスです。

国内・海外からたくさんの資金を調達して急成長する使命を帯びたベンチャー企業なので、社外監査役として気をつけないといけないことも多いと考えておりまして、身の引き締まる思いです。

このビジネスモデル、いわゆる「グルーポン・レース」と呼ばれて、日本でも今非常に盛り上がっておりまして、コンペティターも非常に数多い。
もちろんアメリカでも多数のベンチャー企業が立ち上がってますし、ドイツでは15社くらいが立ち上がって1年くらいで2社くらいに絞られ、中国も聞くところによると数百くらいの会社が立ち上がっている、という厳しさです。

会社は毎日のように人が増えていて、走りながら体制を整えていかないといかない状況ですが、経営チームにも非常にいい人材が集まりつつあります。
現在の西荻窪のオフィスは既に会議するスペースもないくらいギューギュー詰め状態。机や椅子も十分に無いので社長がプリンタの上で仕事してたりしているようで。(笑)
コピー機を使うとブレーカーが飛ぶので、コピーする際には「会社中のエネルギー、あなたに預けるわ」というヤシマ作戦状態になってます。

 

会議スペースも無いので、臨時株主総会も会社ビルの出入り口で開催いたしました。:-)
(下記写真ご参照。取締役3名+従業員株主1名)

 

201007141841.jpg

 

私も何十という会社の株主総会を体験してきましたが、屋外ってのは初体験ですね。(笑)
(しかも英語で、種類株主総会付き。)

 

この会社の最大の資産の一つは、会社の「カルチャー」だと思います。

社長のDaveさんをはじめ、全員、笑顔、快活、チャレンジ精神旺盛な人たちというところが大変すばらしい。
もちろん、私は社外監査役ですので、その笑顔が曇るのを恐れずに指摘すべきところは指摘しないといけない因果な役回りではあります。

社長のDave森さんは日系カナダ人ですので、てっきり取締役会は日本語かと油断して監査役就任を内諾してしまったのですが、取締役3名全員英語がネイティブなので、取締役会や打ち合わせはすべて英語。
取締役会のみならず、社内の会議もほとんどすべて英語の模様。
少なくともその点では、楽天さんを超えてるかな、なーんて。(冗談です・・・全役職員中一番英語が出来ないであろう私が言うな、という感じかと思います。:-)

 

取り急ぎ、ご報告まで。

ではまた。

 


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July 12, 2010

週刊isologue(第67号)平成22年3月期新聞社決算を読む(朝日・毎日)

今週は、朝日新聞社、毎日新聞社の2社の決算を、6月末に各社が提出した有価証券報告書から見てみたいと思います。

(12月決算の日本経済新聞社については3月15日の週刊isologue第50号、
昨年の朝日、毎日、産経3社については、週刊isologue第13号から第15号のバックナンバーをご覧下さい。
産業経済新聞社については時間切れで今回は掲載できませんでした、また機会があれば翌週にでも。)

 

今週の目次とキーワード:

  • 朝日新聞社:業績の概要
  • 朝日新聞社はどのくらいつぶれそうか?
  • 朝日新聞社:株主構成の変化
  • 従業員持株会の負担
  • 朝日放送が大株主に登場
  • 朝日新聞社株の単価が判明!
  • 相続税法上の評価はどうなる?
  • 毎日新聞社:業績の概要
  • 毎日新聞社:株主構成の変化
  • 毎日新聞東京懇話会持株会(なぜ福島の住所?)
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(ではまた。)

 


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July 9, 2010

「米国サイバー軍の紋章に隠された暗号」はカンタンだった?

昨日のWIRED VISIONに掲載された「『米国サイバー軍の紋章』に隠された暗号」という記事がちょっと面白かったです。


201007090757.jpg

(クリックで拡大、出所:Wikipedia

 

[米国は、サイバースペースで戦い、軍のコンピューターをハッカーたちから守るというサイバー司令部(Cyber Command)を創設、今年10月から本格稼働させようとしている]
サイバー司令部の本拠地は、メリーランド州のフォート・ミード陸軍基地にある[国家安全保障局(NSA)も同地にある]。 ここは、軍の中でも最も秘密主義が徹底されている施設の1つだ。サイバー司令部のミッションは基本的に不透明で、軍内部でも明らかにされていない。だが、この誕生間もない部隊にまつわる謎はもう1つある。それはサイバー司令部の紋章(上の画像)に刻まれている。 紋章には金色の輪が2つあるが、内側のほうの輪の上に、「9ec4c12949a4f31474f299058ce2b22a」というコードが刻まれているのだ。

ということで、紋章に「謎の暗号」が記載されているわけです。

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July 5, 2010

週刊isologue(第66号)NTTから「光の道」を分離する方法(資本政策、ガバナンス編)

今回は、「光の道」シリーズの(一応)最終回。

資本政策・コーポレートガバナンスの形などを中心に、総集編的にまとめてみました。

今週の目次&キーワードは以下の通りとなります。

  • 「アクセス回線会社が公的資金を入れずに本当にうまくいくんだとしたら、提案してるソフトバンクが買収して自分でやればいいじゃないか」ということになるか?
  • NTT・新会社それぞれの財務バランス
  • なぜ、「光の道」も上場会社にする必要があるか?
  • 分割で「1 → 0.6 + 0.3」となるか「1 → 0.6 + 0.5」となるか
  • 新会社は「国営」か?
  • 新会社のガバナンス(私案)
  • NTT、KDDI、ソフトバンクも新会社に出資すべし
  • 優先株式の活用
  • 「黄金株」の活用
  • まとめ

 

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July 2, 2010

暑苦しい初夏に暑苦しくがんばっております

ネットを検索していたら、たまたま Asymmetric-BLOGというブログを発見。
ここしばらく話題にさせていただいている日本証券業協会のIPO規制について書かれてらっしゃいます。

日本証券業協会の上場引受に関する自主規制案が意味不明過ぎて…夏(
(数字部分は元は丸数字ですが、文字化け回避のために算用数字にさせていただいてます。)

このうち、特に「」に書かれている未上場株式詐欺のモデルケースについては(どういうソースの情報を元に書かれているのかは謎ですが)参考になるんじゃないかと思います。

特にリアルなのは、
「上場予定(嘘)企業の顧問(的な立場の人)」が勧誘をする
というあたりと、
「一回の出資で騙されるわけじゃなくて、一度儲けさせて、次にドカンと大きく騙す」
というあたり。

 

詐欺の要件

そもそもですが、刑法上の「詐欺」というのは、「騙す意思があった」ということが要件になっています。
つまり犯人の「心の中」を立証しないと有罪にできないわけですが、外形的な証拠から騙す意図という「心の中」を立証するというのは、一般論としては非常に大変です。

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July 2, 2010

「個人から出資を受けたらIPOできなくなる規則変更」の現状まとめ

個人から出資を受けたらIPOできなくなる日本証券業協会の規則変更に大反対します

個人から出資を受けたらIPOできなくなる規則変更にパブコメを書きました

に書いた日本証券業協会の規制変更のパブリック・コメントは昨日の17時で受付が締め切られました。

 

インフォテリア社長の平野洋一郎氏や、弥生社長の岡本浩一郎氏、中央大学法科大学院教授 大杉謙一氏など、多くの方が、本規制変更に反対するブログを書かれてらっしゃいますし、

弥生社長岡本浩一郎氏が作成された関連ブログ記事一覧は、こちら

 

実際に、私がツイッター等で拝見した限りのものであり網羅的ではないですが、下記のような企業、団体、個人の方々が、反対のパブリックコメントを提出されたようです。

一般社団法人eビジネス推進連合会(会長 三木谷 浩史氏)

株式会社弥生 代表取締役社長 代表取締役社長 岡本 浩一郎 氏

株式会社ドリームインキュベータ

中央大学法科大学院教授 大杉謙一氏、その1その2

中央大学法科大学院教授 野村 修也氏

maneo株式会社 代表取締役 妹尾 賢俊氏

駒澤大学 准教授 山口 浩氏

公認会計士 佐久間 裕幸 氏

レオス・キャピタルワークスCIO/ファウンダー 藤野 英人氏

(順不同)

ツイッターは、後から検索するのがちょっと難しいこともあり、全てを網羅できていませんが、インフォテリア平野氏や弥生岡本氏などの呼びかけに応じて、他にも大勢の方々にブコメを提出していただきました。

 

ビジネス界ではこれだけ盛り上がっているのに反して、マスコミさんの報道は、イマイチ低調なのではないかと思いますが、そんな中、現状一番良くまとまっているのは、日経ビジネスONLINEの以下の記事ではないかと思います。

このままでは新規ベンチャー総崩れ? 未公開企業の出資に新規制で、業界騒然
小瀧 麻理子(日経ビジネス記者)、蛯谷 敏(日経ビジネス記者)

この記事によると、

日証協は7月1日でパブリックコメントの募集を締め切った。(中略)100件をゆうに超える3桁の反対意見が寄せられたという。  

とのことであり、

これには同協会も驚愕している。内尾部長は「エンジェル投資などを禁止するつもりは全くなかったが、これだけ反対が多いということは表現の方法などが十分ではなかったのだろう。何らかの対応を考えなければならないかもしれない」と話す。

とのことで、予定していた7月20日からの施行のずれ込みや、内容の見直しの可能性が高まってきたと推測されてます。

また、金融庁や経済産業省からも異論の声が出ている旨も記載されています。

 

ただし、7月1日に日本証券業協会の「前」会長が就任されて記者会見が行われたのですが、(パブリックコメントを締め切ったばかりで状況分析もされてないでしょうから当然ではありますが)そこでは「撤回する」「施行時期をずらす」といった明言は行われなかったようですので、状況はまだ予断を許しません

 

パブリックコメントも多くの方に送っていただきましたし、その多くは「規制すること自体に反対」だと思われますが、集計してみると多分内容にバラツキもあるのではないかと思います。

「個人がベンチャー企業に投資するとトラブルの元になるので、本規制に賛成」といったことをおっしゃってる方もいらっしゃいましたが、上記で日本証券業協会の内尾部長もおっしゃっているように、本件はそもそも、協会の意図としても個人投資家の投資自体を抑制しようといったものでは全く無いわけです。

また、「上場前半年程度の募集だけを禁止すべきだ」「有価証券通知書なども適用除外に含めるべきだ」といった一部修正のみでいい、という意見も入っているようですが、eビジネス推進連合会のパブコメ にも端的に表現されているように、この規制は運用を厳しくすればベンチャー投資に悪影響が出るし、緩くすれば本来の目的である詐欺抑止の効果は無くなってしまいます。
ですから「個人から出資を受けたらIPOできなくなる」という本規制全体を廃止すべきです。

もちろん未公開株詐欺防止についても対応する必要がありますが、上記記事で「コンプライアンスに詳しい弁護士」氏もおっしゃっているように、それは被害状況の周知徹底や、電話による勧誘規制などを本筋にして検討すべき話ではないかと思います。

 

前のエントリでも述べさせていただいた通り、ベンチャーを振興することは、日本の現在抱えている多くの経済問題を解決することと同義です。
みなさんにおかれましては、引き続き、本規制案の全面撤回に向けて、ご協力いただければ幸いです。

 

(「他にもこんな企業等がパブコメしてるよ」といったリンク等がありましたら、コメント欄等でご教示いただければ幸いです。)

 

(ではまた。)

 


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July 1, 2010

個人から出資を受けたらIPOできなくなる規則変更にパブコメを書きました

個人から出資を受けたらIPOできなくなる日本証券業協会の規則変更に大反対します」には多くの反響をいただき、ありがとうございました。

遅ればせながらパブコメとして送る案を作りました。
(あまり長いのもなんなので、シンプルな内容に絞りました。)

 

本日の5時が〆切ですので、これから送りますが、みなさんのご参考にもなれば幸いです。

(この項目のとおりに、みなさんの意見も書いて送ればパブコメになります。

カギカッコは、パブコメ募集の文書では丸数字になっていましたが、Macのメーラー等で文字化けするので[n]と表記してあります。)

 

メールの宛先: public@wan.jsda.or.jp

メールの件名:『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正に対する意見

[1] 氏名: 磯崎 哲也

[2] 連絡先:(メールアドレスを記載)

[3] 法人名/団体名:磯崎哲也事務所

[4] 意見の該当箇所:「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について」全体

[5] 意見:「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について」で提案されている変更全体を取りやめるべきである。

[6] 理由

新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について」(以下「本変更案」といいます)の特徴は「未上場企業が個人から投資を受け場合には上場できない」というシンプルなメッセージにあるかと思います。
しかし、別途、細則案で適用除外事項が定められているとおり、善良な企業を上場させるためには、例外を設ける必要があります。

 

仮に、貴協会の広報の努力によって「上場できない」というシンプルなメッセージを多くの人に伝えることができても、詐欺を行う者は適用除外の要件を突いてくるはずです。

詐欺被害者の多くは、未公開株や未上場企業の実務については詳しくなくても、日常生活をする程度の判断力はあるはずであり、知らない人間からの勧めをそのまま鵜呑みにする人ばかりであるとは考えられません。

単に「儲かります。」ではなく「普通では上場できないんですが、こんな裏道があるんですよ。」と言う要件が提示され、それが事実であることが確認されることによって、詐欺はより説得力を増してしまいます。
そもそも、詐欺かどうかは「騙す意図」で決まるものであり、詐欺を行う者の「心の内面」を形式的な要件で判別することは困難です。

 

また、貴協会が上記のメッセージを潜在的な詐欺被害者に伝えようとすれば、そのメッセージは、一般の企業やそれらの企業を取り巻く関係者にも広く伝わるはずです。

ベンチャー企業を支援しようと考えている人に「個人が投資したら上場できない」というメッセージが伝われば、投資意欲は大きく減退してしまいます。また、既に個人から投資を受けている未上場企業は、将来の上場の可能性が下がりますので、それ以降の投資家から見た投資のリスクは上昇します。

これらの影響により、未上場企業は不利な条件での資金調達を強いられることになり、場合によっては資金調達自体が不可能になることも考えられます。

このような創業期や成長期における資金調達環境の悪化は、未来の日本の成長を担うベンチャー企業の発展に大きな障害となるものと考えられます。

 

その他、本変更案についての問題点の詳細については、私のホームページに考えを記載させていただきました。

http://www.tez.com/blog/archives/001648.html

 

以上のとおり、本変更案の基本的な性質から考えると、本変更案を個人投資家保護とベンチャー企業育成の両方を考え合わせた適切な案に修正することは、細部の修正によっては困難であると考えられます。

このため、本変更案で提案されている変更の全体を取りやめていただくよう、謹んでお願い申し上げます。


 


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June 30, 2010

ワールドカップを見て思う日本のベンチャー企業・上場制度

昨日のサッカーワールドカップ・パラグアイ戦、残念でした。でもよくがんばったと思います。

(本格サッカーファンのみなさまにおかれましては、にわかサッカーファンの私めがサッカーをネタに語るのをお許しいただければと思います。<(_ _)>)

 

さて、日本では、へんな上場企業が不公正ファイナンスを行ったり、上場してみたら上場前からものすごい粉飾をしてたり、といったことが、かなりの頻度で発生しているように思います。

こういう事件が起こるたびに

「何やってんだよ、もう。」
「日本の株式市場最悪。」
「証券会社や取引所は、もっとちゃんと審査しろ!」

といった声があがるわけです。
(私もつい(F○I社の件など)、「それド真ん中でしょ、なんで通しちゃうの!?」と口から出ちゃうこともありますが…。)

 

しかし、今回、ワールドカップの試合を見ていて、敵に点を決められた時にキーパーをなじったり、PKで点を入れられなかったキッカーを非難するというのは、人間としてやっぱ最低だなと反省いたしました。

 

例えば今回の「未上場時に個人から出資を受けた企業が原則としてIPOできない」という規制案の件。

そもそもなぜ未公開株詐欺といったことが起こるのか、という根本原因を考えてみると、それは「未公開株はオイシイ」という認識が存在するからです。

もちろん、上場前の株価は、上場株式と違って流動性が無い分 discount されていると理論的には考えられますので、その分安い、ということは言えます。

しかし、それは上場できるかどうかわからないリスクを織り込んだものですので、市場メカニズムが効率的に働いていると仮定するなら、その分を適切に反映したディスカウントとなり、つまりはリスクに見合った儲けしか得られないはずです。

 

しかし、上場した企業の多くは、上場直後の株価がピークで、その後は滑り台のように右下がりに株価が下降して行くばかりになったりします。果ては、不公正ファイナンスに使われる「箱企業」((c) SESC佐々木氏?:-)と成り果てたりもします。
こういう状況だと、いちばんオイシイのは上場直前の株式を手に入れること、になってしまいます。

 

しかしこれ、結局すべては「ベンチャー企業が少な過ぎることに起因しているものじゃないでしょうか。

主幹事証券会社の人も取引所も、何も好んで上場後にクソ株になるような企業を上場させているわけじゃないかと思います。

ビジネスなので、ベンチャー企業の数が少なければ、消去法で「まだまし」な(追記:つまり「ものすごく有望」ではなくても、失敗の可能性が高いとも言えず、成長の可能性もある)企業から順番に公開させないと生きていかれない。
芥川賞じゃないので「今年は該当作品なし」では、ベンチャー企業を取り巻く生態系自体が滅びてしまうわけです。

 

逆に、もし「イケテるベンチャー企業」ばかりが上場し、そのベンチャー企業がますます成長できるような環境があれば、右上がりの株価で成長していく企業も増えるでしょうから、わざわざ本当に上場するかどうかもわからない未公開株に手を出さずとも、 上場直後に買っても十分利益を得られるようになります。

「この会社、上場してもやってけるのかなー」ということが頭の隅に浮かぶような企業をわざわざ上場させなくても、イケてる企業が上場順番待ちにワイワイ列をなしていれば、そういう「クソ株候補」は自ずと上場機会を失うわけです。

 

つまり、「イケテるベンチャー企業」を増やすことこそが、現在の株式市場周辺の頭の痛い諸問題を解決する根本的解決策です。

そのためには、起業をもっと活性化させることも必要ですし、上場したベンチャー企業がさらに大企業をも追い抜くような成長ができるもろもろの環境を整えていかないといけません。
これっておそらく、「日本の成長戦略」とかなりの部分が重複すると思うんですよ。

 

今の日本は、点を取られたと言ってはキーパーをなじる最低なチームではないかと思います。
攻められっぱなしで、いつも敵がこちらのゴールの周りに張り付いているような状況では、精神的に消耗もしますし、点も入れられてしまう。

もっとフォワードがガンガン敵ゴールにシュートを蹴り込んでばかりいるような状況が作りだせれば、それが最大の防御にもなるわけですし、チームの心が一丸となっていれば、もっといいプレーができるはずです。

 

私は、エースストライカー(ベンチャー企業そのもの)というよりは、ベンチャー企業にパスを出すような(あるいは選手の飲み物を用意するような)位置付けの人ですが、FWからDF、キーパーまでが一丸となれるチーム形成に何らかのお役に立てればこれにまさることはない、と考えております。

 

(ではまた。)

 

 


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June 29, 2010

個人から出資を受けたらIPOできなくなる日本証券業協会の規則変更に大反対します

(追記21:18:論旨は全く変わりませんが、字句・表現等、大幅に加筆、修正しました。)

 

今月10日付けで、日本証券業協会から「新規公開前に行われる不適切な自己募集を規制するための「有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正について(案)」という文書が公開されました。

http://www.jsda.or.jp/html/oshirase/public/10061001.pdf

 

この変更案(以下「本変更案」といいます)は、ベンチャー企業がその役職員又はその親族以外の個人から出資をしてもらった場合には、日本証券業協会の引受会員が新規公開時の引受けを行うことを原則として禁止するものです。

ベンチャー企業の実務では、創業初期等に友人や知人、元の会社の社長などの「個人」から出資を受けることがよくあります。つまりこれは、そうした個人から出資を受けたベンチャー企業の上場が事実上不可能になる可能性を持つ規定変更です。

現在、日本経済は停滞し、国を挙げて成長戦略が模索されていますが、既存の企業だけで成長できないわけですから、新しいベンチャー企業が生まれて成長し、新しい産業を次々に興すことこそが成長戦略のはずです。

ところが、この規定変更が行われれば、その新しい事業の芽は踏みにじられ、国民が自由に起業し、新しい仕事を生み出すことが大きな制約を受けることになります。憲法に定められた基本的人権である職業選択の自由さえ脅かされかねないわけです。

また、本変更案には来月7月20日以降に新規公開の決議を行う企業に適用されると書いてあるのみで、既に個人から資金調達した企業は除外するとは書かれていません。つまり、すでに個人から出資を受けられた未上場企業は、この変更案が通れば、今後原則上場ができないことになります。

すなわちこれは、今まで上場を目指してがんばってきたベンチャー企業の夢を打ち砕き、上場する可能性を信じて投資を行った人達の財産を著しく毀損させる変更案であります。

さらに、本変更案は、頻発する未公開株詐欺を防止するために行われるものとのことですが、後述の通り、その抑止効果がほとんど無いばかりか、むしろ詐欺の助長・悪質化を招く可能性も高いものであると言わざるを得ません。

私は、多数の上場前・上場後のベンチャー企業の役員やコンサルタントを行ってきましたが、その経験からもこの規則変更がベンチャー企業や日本に大きな損害を与えると考えており、この規則変更案に強く反対するものであります。

 

以下、なぜこの規則変更が大問題なのか、個々の点について述べさせていただきます。

 

 

形式的な要件では適切な投資かどうかの判断はできない

本変更案は、新規公開前に自己の株券、新株予約権証券、新株予約権付社債券及び社債券について個人投資家に対して募集又は私募を行っていた場合に、日本証券業協会の引受会員が新規公開での引受けを行ってはならない、とするものです。

(注:金融商品取引法に定める「募集」は、各財務局を窓口として内閣総理大臣に「届出」を行うことが原則で、その適用除外を受けられるその他の少数向け又は少額のものが「私募」です。)

現行の「有価証券の引受け等に関する規則」においても改正案においても「個人投資家」の定義は行われていませんので、個人が投資を行った場合には、すべて個人投資家に含まれてしまうものと考えられます。

細則の変更案においては、例えば親戚が投資する場合は適用除外となっていますが、親戚よりも一緒に仕事をしてきた友人や知人などの方がはるかに事業の内容に詳しいこともよくあり、親戚であれば投資家として適切であるということにはなりません。投資が適切であるかどうかは、投資を行う者が、その企業の内容やリスクをよく理解しているかどうかで判断されるべきであり、それは親戚かどうかといった形式的な基準では線を引く事ができないものです。

また、この規定案では「株券」等の証券を対象にしていますが、多くの未公開企業は株券不発行会社であり、近年のベンチャー企業の実務においては、株式も新株予約権も、証券が発行されるものはむしろまれです。

証券が発行されない募集等については適用除外であるなら、未公開株詐欺を行う詐欺師は、
「証券を発行しない募集の場合には上場できるんですよ。」
と言えばいいだけのことでなり、それでは規定が詐欺を抑止する効果はありません。
本変更案が証券を発行しない増資の場合を適用除外とする意図かどうかは存じませんが、この改正案が一度採用され、それ以降に上記のような証券を発行しない詐欺が横行すれば、証券を発行しない場合も対象になることは明らかです。

また、既発行の株式を譲渡するという詐欺は、この規制では防げません。

 

■未公開企業の円滑な資金調達を著しく阻害

平成19年に施行された金融商品取引法においては、みなし有価証券の自己募集を行うには金融商品取引業として登録することが求められるようになりました。
つまり、民法上の組合、匿名組合などのファンドの他、合名会社や合資会社、合同会社の出資等を自分で集める場合にも、出資者が常時業務に従事するといった場合以外は、「第二種金融商品取引業者」として登録しないと資金調達ができないことになってしまいました。

つまり、映画などで出資を受ける場合にも、法律上はいちいち「金融業者」にならないといけなくなったわけです。

ご参考:拙稿「今時のインディーズ映画制作と金商法(規制のおさらい編)

 

これはビジネスを行う場合のエンティティの選択を狭める規定ですが、民法上の組合や匿名組合などは、日本のビジネスにおける資金調達方法の主流ではないので、まだ国家経済に与える影響は小さかったかも知れません。

しかし、株式会社は(旧有限会社法からの特例有限会社を含めれば)、全国で250万社もあり、日本経済の中核・根幹を占める存在です。

この株式会社にも同様の制約がかけられて、個人に対する自己募集すら大きな制約がかかり、資金調達が円滑に行われないようなことになれば、中堅中小企業は多大な影響を受ける可能性がありますし、特に、成長して大きな企業価値、付加価値や雇用を生み出すはずのベンチャー企業に、大きな足かせをはめることになってしまいます。

 

詐欺会社は上場しない

本変更案は、個人向けに私募等を行った企業の上場を事実上禁止するものですが、資金だけ集めて上場する気がないから詐欺なのであって、詐欺をする会社は上場が出来なくても全く困りません。

つまり、この規定は、真面目に上場を目指している企業が迷惑を被るだけで、詐欺をする会社には効果がほとんどありません。

 

「ベンチャー企業は個人から資金調達しない」という事実誤認

本変更案では、「上場前に個人投資家に対して自己の発行する株券の勧誘行為を行うことはないものと考えられる」とありますが、まったくの事実誤認です。

今までに上場したベンチャー企業の相当の割合が、創業間もない時期などに、友人や取引先、経営を指導してくれる専門家など、役員や従業員の親戚以外の個人からの資金調達を行っています。(上場時の有価証券届出書を見て、株主の欄を見てみれば容易にわかることです。)
それらの会社は、その資金がなかったら会社が潰れていたかも知れないし、その資金があったからこそ、今の上場企業があるわけです。

現在、仮に昔からこの規制が存在したとしたら、日本を支える今の上場企業のうちどれほどが上場できたか、上場できないことによって今の日本のGDPが何%下がっただろうかと考えてみれば、その悪影響は容易に想像が付くことではないかと思います。

そもそも、見ず知らずのベンチャー企業に出資したり、ベンチャー企業が見ず知らずの人から出資を受けたりするのは、私個人もお勧めはしません
しかし、それと、一定の形式要件で不適切な資金調達を定義できるかどうかは、また別の話です。

例えば近年、既に上場したベンチャー企業の社長や、引退した優秀な経営者が、有望な次の世代のベンチャー企業に出資をするといったケースは急速に増えています。
こうした、ビジネスモデルや技術力などに目利きができる有名な社長等が出資していれば、企業の信用力も高まり、ベンチャー企業が他社と取引するのにも大きなチャンスが生まれるわけです。
また、アドバイスを行う専門家等が、その事業の可能性を見いだして出資をし、それによって企業の信用が高まるということもあります。

このように個別性が非常に高い個人の出資を形式要件で十把一絡げにして、「個人投資家から募集や私募したらすべて原則上場禁止」とすることは、ベンチャー企業の経営の自由度や可能性を大きく奪うことになります。

 

有価証券届出書は詐欺師には意味が無い

本変更案では、少人数の個人投資家からの出資が除外されていないにもかかわらず、詐欺であれば被害が大きくなる大規模な募集の際に提出される有価証券届出書を提出していた場合には適用除外になる旨が定められています。
しかし、この形式要件も不公正なことを意図する人にとってはさしたる障害にはなりません。

時価総額数億円の上場企業ですら、専門家が関与して不公正ファイナンスが行われているわけです。
未上場企業でも、企業価値数十億円になることもありますから、規模から考えても、ファイナンスに詳しい反市場的な専門家の協力がいくらでも得られるはずです。

むしろ、詐欺師が、
「普通だと個人の方が出資すると上場できないんですが、有価証券届出書というこの書類を提出すれば上場できるんです。これは関東財務局も認めた増資ということなのでご安心ください。」
と、分厚い書類を見せたら、詐欺の信憑性は逆に上がってしまいかねません。
(抵当証券詐欺を思い出していただければと思います。)

ベンチャー企業の関係者の中にも、
「その有価証券届出書っていうのを提出すれば大丈夫なんでしょ?」
と甘く考えている方が散見されますが、有価証券届出書を作成するには監査法人等による会計監査を受ける必要があり、真面目に作成するとなれば、会社側スタッフの多くの時間・賃金と、監査法人や弁護士に支払う費用で、数百万円から数千万円のコストがかかるものだ、ということを知っておいた方がいいと思います。

一方、詐欺師は全くそんな費用をかける必要がありません。
詐欺の被害に遭う素人は、有価証券届出書を読んで形式の不備等を発見するなんてことはできませんから、詐欺師は他社の有価証券届出書を切り貼りして、もっともらしい書類を作ればいいだけです。

つまりこれも、真面目に資金調達や上場を考えるベンチャー企業だけが被害を被って、詐欺師にはほとんど効果を及ぼさない規定ということになります。

 

「法人で出資すればいい」か?

この規定が禁止しているのは個人からの出資であって、法人からの出資は問題にしていません。
おそらく、ベンチャーキャピタルのファンド(組合等)からの出資も問題にしていないはずです。

「だから、法人から出資を受ければいいだけではないか」かというとそうではありません。

詐欺師は、
「個人からの出資では上場できないですが、法人からの出資は問題になりません。だからこの法人に出資したら儲かりますよ。」
と言うだけのことですから、個人だけに絞る意味は全く無いわけです。

一方、真面目に個人で出資しようと思っていた個人商店等のオーナーが、この規定ができたおかげで法人から出資をせざるを得なくなった場合、個人であれば上場後のキャピタルゲインには10%の課税だけで済むのに、法人で出資すると、キャピタルゲインにも約4割の法人税等が課せられることになってしまいます。
出資者にとってはそれだけ実質利回りが下がるわけであり、その分、ベンチャー企業は調達条件が不利になる可能性があります

個人商店的な企業であれば、個人から出資するか法人から出資するかを自由に選択できるのでまだいいかも知れませんが、中堅企業以上であれば、会社と個人の財産が明確に分かれていることも多いでしょう。
企業の事業目的にそぐわない場合には、そうしたベンチャー企業への出資も閉ざされてしまうことになります。

結局、「個人か法人か」という区分も、詐欺師にはほとんどなんの効果もなく、真面目にベンチャー企業を応援する人に悪影響を及ぼすだけです。

 

■「上場できない可能性」はベンチャー企業の資金調達を著しく不利にする

「有価証券の引受け等に関する規則」に関する細則第2条第4項では「その他本協会が第1号から第3号に準ずると認めたとき。」という除外規定を置いています。

日本証券業協会は、個人向けの私募等を行った企業であっても、不適切なことを行った企業でなければ、この規定を用いて救済できると考えているかも知れません。

しかし、ベンチャー企業が個人から資金調達をするのは、上場のはるか以前のことが多いわけです。

起業した時には規制関係の知識も乏しいでしょうし、特に日本証券業協会の規則などは知らない、個人から資金調達をしてしまうこともありえます。
例えば、「元勤務先の社長がビジネスモデルを見込んで出資してくれるというので出資してもらったら、後から原則IPOが禁止されていた」ということに気が付くということも頻発するでしょう。

もちろん「個人から資金調達したら上場できないんだろ?」と個人からの出資を断られることも増えるはずです。

ベンチャーキャピタルから投資を受ければいいかというと、そうではありません。
すでに個人から出資を受けてしまった企業にIPOできない可能性が存在するとなれば、受けられないか、その分、ベンチャー企業に不利な条件で投資を受けざるを得ないことになります
また、個人から投資を受けたことがなくても、 資金調達をする時に、個人が出資をしてくれる可能性がある場合と、ベンチャーキャピタルだけと交渉しなければならないのとでは、当然、交渉力が違ってきます。

 

「日本証券業協会が不適切な募集でないことを事前に確認する制度を作ればいいではないか」
と考える方もいらっしゃるかも知れません。しかし、そのようなものを作ったにしても、日本証券業協会も、何も見ないでOKを出すわけにはいかないはずです。

結局、そのような場合に日本証券業協会が内諾をするにも、上場審査の内容に準じたことを行う必要があるということになります。すなわち、その会社の将来性があるかどうかの事業計画や、株主等に反社会的勢力がいないかどうか親戚や関連会社の一覧表を出すといった過大な作業を、創業して間もない企業にも強いることになるわけです。

 

前述のとおり、現在存在する未上場企業の多くは、個人から資金調達を行った経験があるはずです。

今後も同じ頻度で個人からも調達した企業が上場するとなると、それを救済しないわけにはいきませんが、この例外規定で救われる企業が、上場する企業の何割にもなれば、それはもはや「例外」ではなくなります。

いくら、日本証券業協会が「個人から募集した企業は原則上場できない」ということを広報しても、詐欺師が、過去に上場したベンチャー企業の有価証券届出書等の資料から一覧表を作り、「実際には、この企業も、この企業も、個人が出資してますが、上場できていますよ。」と言えば、逆に、詐欺の説得力は増してしまいかねないわけです。

 

この規定は資本主義の死を意味する

この細則による適用除外のように、日本証券業協会の裁量の幅を大きくし、「真面目な」企業にはOKを出すが、「不適切な」資金調達をした企業は通さないようにするという考え方は、それ自体が非常に危険です。

資本主義社会が共産主義社会と違ってうまくいったのは、特定の少数の人間が生産等の経済活動を決定しコントロールするのではなく、多様な考えの個人や企業が自由に製品やサービスを生み出し、それが人々の需要を喚起して経済を活性化させたことにあります。

ベンチャー企業は、今まで誰もやったことが無いような新しい営業、新しい技術にもチャレンジをするわけで、「確実に成功するベンチャー企業」なんてものは無いわけですし、また、どんな人間でも未来を完全に予測することなんてできるわけがありません。

例えば「グーグル」社が創業しようというときに、「検索エンジンを中核に据えたビジネスモデルが将来、10兆円を超える企業価値を持つ企業が登場するなんてことは、ほとんどの人は考えなかったはずです。
8000億円を超える時価総額の「楽天」ですら、10年前「あんなビジネスモデルはアメリカじゃ全然相手にもされない」なんてことを言っていた「専門家」を何人も知っています。

だから、「多様な価値観」こそがベンチャー企業には必要なのです。
いや、資本市場や資本主義は、そもそも、そうした多様な価値観にこそ支えられているわけです。
不確実な未来に挑戦しようという「アニマルスピリッツ」です。

日本証券業協会は、
「公言すると詐欺抑止効果が無くなるから言わないけど、普通の私募なら例外規定で通しますから大丈夫」
と考えているのかも知れませんが、それは大間違いです。

どんなチェックも100%完璧ではありえないので、将来、「OKを出したのに実は詐欺だった」というケースは発生し得ます。そうなれば、以降この規定は字義通りに運用されることになり、「始めから規定では原則禁止でしたが?」となるに決まっています。

この規定の構成から考えても、日本証券業協会の方々は、上場企業には詳しくても未上場のベンチャー企業の実務に詳しいとはとても思えません。
いや、上述の通り、たとえ「詳しい人」が担当者になってもダメなわけです。
それは、ベンチャー企業の成否が「一定の価値観」でコントロールされることであり、それは多様な価値観に支えられた資本主義の死を意味することになります。

 

 

以上のとおり、本変更案は、ベンチャー企業の活動を著しく阻害し、日本の成長に足かせをはめるばかりか、詐欺の防止にもほとんど効果はなく、詐欺の助長すらしかねない内容となっています。

 

みなさんにおかれましては四半期末でお忙しいこととは思いますが、ぜひ、日本証券業協会のパブリック・コメントに対して、メール等で本件に反対する旨を送っていただければと思います。

この件については7月1日の17時までが〆切となっています。

日本証券業協会:パブリック・コメントの募集について
http://www.jsda.or.jp/html/oshirase/public/bosyu.html

 

パブリック・コメントの募集スケジュール等

(1) 募集期間及び提出方法

募集期間:…平成22 年7月1日(木)17:00 まで(必着)

提出方法:電子メールの場合:public@wan.jsda.or.jp

(2) 意見の記入要領

件名を「『有価証券の引受け等に関する規則』等の一部改正に対する意見」とし、

次の事項を御記入のうえ、御意見を御提出ください。

[1] 氏名又は名称

[2] 連絡先(電子メールアドレス、電話番号等)

[3] 法人又は所属団体名(法人又は団体に所属されている場合)

[4] 意見の該当箇所

[5] 意見

[6] 理由

よろしくお願い致します。

 

 


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June 29, 2010

週刊isologue(第65号)NTTから「光の道」を分離する方法(接続会計編)

先週は、「光の道」に関連して、アクセス回線会社をNTTから分離する際に、どんなことが起こる可能性があるのか、概観してみました。

今週は、NTT東日本及びNTT西日本が公表している「接続会計」(めちゃ細かいです)を読んで、このアクセス回線会社を分離した際のバランスシート(貸借対照表)をイメージしてみたいと思います。

この「接続会計」関係の話は、ものすごく細かい表や図がたくさん出て来るので、見てるだけで目がチカチカしてくるのではないかと思いますが、本質がどのへんにあるのかをなるべくわかりやすく解説させていただければと思います。


201006282358.jpg

 

ということで、今週の目次&キーワード:

  • NTT東日本、NTT西日本の接続会計、財務会計関連資料
  • 接続会計の概要
  • 監査法人の報告書
  • 接続会計の損益計算書
  • 接続会計の貸借対照表
  • メタル回線設備の価額及び「減損」の金額の想定
  • 流動資産の想定
  • 負債・資本構成(仮)
  • 次週予告

 

ご興味のある方は、下記からお申し込みいただければ幸いです。

 

(ではまた。)

 

 


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June 24, 2010

WEBRONZA、スタート

今日から朝日新聞の新しい言論・解説サイト「WEBRONZA

http://webronza.asahi.com/index.html

がスタートしました。


201006240743.jpg

 

一応、私も「経済・雇用」セクションの筆者一覧に入れていただいてます。

が、まだ何も書いてません。どんな感じになるか、さっき初めて見たもので・・・。他の人はもうみなさんいろいろ書いてらっしゃいますね・・・汗)

 

6月中はすべてのページが無料で見れますが、7月1日からは有料になるそうです。

これだけ無料の言説があふれているところに「有料のウェブ」なんてものが成立するのかどうか全く謎ですし、うまくいったら奇跡だという気もしますが、新しいことにチャレンジしてみるのはいいことじゃないかと思います。

 

みなさんもよろしかったらご覧下さい。

 

(ではまた。)

 


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