(基本的に当ブログでは私が関わっている件についてのコメントはしない方針なのではありますが)、三菱東京UFJ銀行によるカブドットコム証券株式に対するTOBが発表されましたので、ご参考まで。
カブドットコム証券株式会社
当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ
http://www.kabu.com/company/pressrelease/2007/20071114_2.asp
https://www.release.tdnet.info/inbs/1b0e1a10_20071114.pdf
前回に引き続き、独立性のある取締役等で特別委員会を設置し、TOBに賛同するかどうか、価格は公正か、等を検討しています。
その諮問の結果を受けて、取締役会では、(日本ではまださほど例は多くないと思いますが)、
「TOBには賛同するが、少数株主の利益の観点から公正な価格であるとの判断を行うことは困難であるため、応募するかどうかについては各株主のみなさまにご判断をおまかせする。」
という意見としています。
時間的な余裕も少なく、連日深夜(朝)まで議論したものですので、至らない点、読みにくいところもあるかも知れませんが。上場廃止を前提としないTOB(50%未満の子会社→50%超)のケースとして、ご参考まで。
(ではまた。)
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む、む!
これはスゴイです。
まだ全編読み終えておりませんが、先例的価値の高いものを世に出されたこと、特別委員会の皆様に最大級の敬意を表します。
すごい!
ここまで、マジ検討した意見表明報告書初めてみました!
みんな、ちゃんと検討しよーよ!
カブドットコムの意見表明報告書
こんにちは、M&A会計士の澤村です。
さっき、イソログチェックしていたら、三菱東京UFJがカブドットコムに公開買付けを実施するにあたって、カ…
全部読んでないけど、マンセーな意見が多いので苦言を呈すると、この時期に乗じてMUFJが前回のTOB価格よりはるかに低い金額で、今度は50%を越える株式を取得する行為自体、言い訳はさておき、かなり下品なレベルでないかと思いますが。
業績予想を公表してないけど、DCFで算定して、半年前と今回は業績予想が違うのでマいいんじゃね的なのやコントロールプレミアムも全株じゃないんでって50%をまたぐのにイインジャネ的なのもヒドイですね。
ま、これで50%を握られたので完全掌握で、もう一段下げておいてから全株取得の非公開化というゴールデンシナリオが出てくるのでしょう。
ただこれだけの言い訳を公表したのは確かに立派ですね。ちなみに、このTOB計画の交渉開始時点は明らかにされているのでしょうか?
コメントありがとうございます。
>全部読んでないけど、
お時間がありましたら、ぜひ、じっくり読んでいただければ幸いです。
>DCFで算定して、半年前と今回は業績予想が違うのでマいいんじゃね的なのやコントロールプレミアムも全株じゃないんでって50%をまたぐのにイインジャネ的なのもヒドイですね。
読んでいただければお分かりいただけるかと思いますが、「イインジャネ?」じゃなくて、(一定の配慮がなされた価格ではあるが)、相場が下落している中で、その影響を受けたDCFで算定したからOKというのは、「ダメジャネ?」と申し上げているわけです。
>もう一段下げておいて
と申されましても、相場操縦して意図的に株価を下げられるわけではありませんし・・・。当然、企業価値(株価)が今後上がる方が、関係者みんなハッピーなわけです。
二段階買付けによって少数株主のみなさんへ不利益がないかどうかについても検討していますので、ご覧ください。
上場を継続する計画なので、4000万口座をお持ちのBTMUさんとの提携が功を奏せばそのシナジーが株価に反映して少数株主のみなさんにもプラスになる可能性も考えられるわけですが、当然、必ずそうなるとは限りませんので、TOBに応じたほうがいいか、保有し続けた方がいいかについては株主さんにお任せします、という意見になったわけです。
ご参考まで。
(ではまた。)
これは強圧性の生じうる典型的な買付方法ですね。
全部買付けをしない点、過去12か月の最高価格でない点など、イギリスでは、とうてい認められないですね。
本当に本件について強圧性があるのか、イギリスでは認められないのか、イギリスで認められないことは(アメリカとも欧州とも買収関係の制度の違う)日本でもダメなのか、(つまり、原則はともかく、例えばイギリスの「パネル」が、どう買収の是非を実際に、要件で機械的に判断しているのか柔軟に判断しているのかは、日本で欧州の買収制度を研究している研究者の方々からもよくわからないという話もありますが)・・・・という話はさておき。
本日は、某ローエコ(law and economics)大好き弁護士さんの中大ロースクールでの授業におじゃまして、
「本当に強圧性というのは悪いことなのか」
というお話を聞いてきました。
「
日本では『強圧性は悪い』、という議論だけで、逆の『フリーライド問題』という視点はまったく話題に上らない。
現在の株価より高い価格で株式を購入しようという提携者は、なぜ現在の株価より高い株価で買うかというと、自分が提携することにより、その高い買付け価格以上の株価を実現できると考えているからだ。
ということは、(市場のひずみを利用して短期的に転売して儲けようというTOBや、上場廃止を前提とした二段階買収の場合はさておき)、一般の株主は、TOBに応じずにそのまま保有し続けたら、提携者が実現する価値にフリーライド(ただ乗り)できるし、TOBも成功しない可能性がある。
だから、強圧性は少しでもあったらダメというものでなく、成功するTOBにはある程度の強圧性はあるはずなのだ。重要なのは、強圧性とフリーライドのバランスがどうか、そのバランスが社会的に許容される公正性の範囲を超えたものなのかどうか、ということではないか。
」
という内容でした。
(ご参考まで。)
「カブドットコムの意見表明報告書」...シブイ!
タイトルは新聞紙上等で既にご存知かと思いますが、三菱東京UFJによる公開買付けに対しカブドットコムが提出したものです。
https://www.rele…
無責任な評価書だと思います。
18万円の妥当性を評価すべき委員会が妥当性は株主に委ねると責任を放棄しています。
多くの株主が応募すれば事後的に18万円が妥当であったと結論付けるつもりなのでしょう。
この評価書は単に買収者と被買収者のアリバイ作りに使われているに過ぎません。
委員会が行うべきはDCF法により計算した結果を
その計算根拠も含めて広く公表することです。
特に24万円の時に採用された数値と
今回採用した数値がどのように違うか明示する義務があります。
DCF法は使用する数値により結果が大きく食い違ってきます。
本当に妥当な数値を使っているか公表することが
TOB価格が妥当であるかどうかを判断するキーになります。
そのDCF法の前提がそもそも妥当と言えない可能性がある、と申し上げております。
(理由は報告書記載のとおり。)
価格が事後的に妥当であったと結論付けるつもりもございません。(TOBは10%ちょっとを集めるだけなので、「当社の中長期的な企業価値を十分に反映した価格に設定されない可能性」についても言及しています。)
“上場廃止しないので”、仮に今回の価格が安すぎて将来TOBより株価が上がるなら、その時に売っていただければ、そちらの方が株主の方も儲かるわけでして。
ただし、「将来、株価はTOB価格より必ず上がりますから今は売らない方が得ですよ」なんてことは言えないし、言うべきでもないと思います。
続きのエントリもご覧いただければ幸いです。
http://www.tez.com/blog/archives/001037.html
報告書のどこを読んでも意味のある内容は記載されていません。
繰り返されていることは、18万円が妥当であるかどうかは分からないから、
判断は株主に委ねるという責任逃れの姿勢だけです。
TOBに応募するかどうか株主が判断するのは当たり前のことであり、
ことさら報告書で結論を出すべき問題ではありません。
一体何のために鑑定を行ったのか疑問を感じさせる内容です。
次に指摘しているTOBが強制的であるかどうかについては、
貴方が回答しているように明らかに強制的ではないと考えます。
なぜならば今回は上場廃止にならないし、全株取得条件もついていません。
TOBに応募すべきかどうかは、報告書が言及するまでもなく
株主が自由な立場で判断できる状況にあります。
この報告書の問題点は、何度も繰り返しているように、
18万円というTOB価格が妥当であるかの判断から逃げていることです。
DCFの前提が妥当と言えない可能性があると言うものの、
そのどこが妥当と言えないかを明示していません。
現在市場で行われているTOB価格の評価はDCFが中心であり、
それを否定するならなぜそうなのか具体的に記載するべきです。
24万円の時に三菱UFJ証券や野村はDCFで価格を算出しており
少なくとも今回18万円の算出に使った数値は並列的に明示しなければなりません。
カブコムの企業価値は6ヶ月前よりも現在の方が高まっており、
DCF法を使って正当に評価すれば
TOB価格は24万を上回ることはあっても下回ることはありません。
指摘しているサブプライム問題はネット証券には関係ありませんから、
何でもサブプライムという流行語を使えば誤魔化せると考えるのも誤りです。
上記の通り、今回の報告書は株主に対して必要な情報は何も提供しておらず、
株主が18万円が妥当であるかどうかを判断する材料となっていません。
株主の視点に立って株主にとって価値のある報告書を再度作成することを希望します。
日本の従来の意見書のほとんどは、「賛同します。以上。」で終わりだったと思いますので、価格が諸手をあげて妥当とは言えないこととか、当該価格を取り巻く様々な「観点」をお示しすることは、投資家のみなさんにとって一定の追加的情報としての価値があると考えたのですが、うまく伝わらなかったとしたらすみません。
「サブプライムローンは関係ない。」とのことですが、実際、証券会社の業績は株式市況に非常に強い影響を受けます。このため、同社は年間の業績予想も(かえって投資家の方々の誤解を招く可能性があるため)公表していない例外的な会社で、ましてや今後数年にわたる中期計画をDCFによる中長期的な価値の算定の根拠とすることには限界があると思いますし、そうした限界のあるDCFのベースの数値を公表することは、今回の場合、あまり意味がないと考えました。
tossy80さんは、「特別委員会/取締役会は価格について白黒つけるのが責任だ。」というお考えのようですが、個人的には私は今回の場合は特に、TOB時の価格について妥当か妥当でないかの二元論で割り切ってしまうことだけが投資家のみなさんに対する情報提供のあり方とは違うのではないかと考えました。(他の特別委員や取締役の考え方は、また違う面もあるかと思いますので、以上はあくまで個人的意見であります。)
「よくわからない」というご意見も確かにあります一方で、「従来の意見書より、何が言いたいかがわかりやすかった」等のご意見もいただいております。
いずれにしても、みなさんいろいろご意見ありがとうございます。
前回のときよりたくさんご意見いただきましたので、大変参考になります。
引き続きよろしくお願いいたします。
(ではまた。)
サッポロHD特別委員会の意見書(うーん)
「スティール買収で企業価値棄損」サッポロ特別委(MSN産経ニュース)
ということだそうですので、プレスリリースに含まれる意見書要旨を読んでみたんです…