「監査法人」にも当てはまる

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先ほどのエントリの「金融機関」という言葉を「監査法人」に当てはめても、ほとんど文章として違和感がない、ということに気づいてまたがっくり。


その先ほどのエントリに、「ケール」さんからコメントいただきました。

 元霞が関勤めで、現在公認会計士をめざしております。

がんばってください!
 
 

ルールとコミュニケーションについて、在職中からぼんやりと感じていたことと重なる点があり、興味深く拝読いたしました。
 4月頃に同じく日経新聞の特集記事で本人確認強化の規制強化に対して塩川元大臣が「行政が責任を逃れるアリバイ」ではないかとの発言が載っておりました。それと今回の記事を併せると、金融機関が監督官庁に対して抱いているビクビクした(?)視線を、監督官庁も国会や世論に対して抱いているという感じでしょうか。
 事件が起きるたびに、その時の世論や国会が、行政に対して二度と起き得ないような再発防止策の策定を求めるのはある種仕方がなく、昔からあったものと思います。しかし、昔と異なり、裁量行政防止の観点から、これらの対応を行われる明文化された「透明なルール」によりという影響も大きいかと思います。。
 「この対応で、今後この様な事件は絶対に起きないだろう」と皆が納得する再発防止策を文章で作ると、とかくがんじがらめなルールになりがちです。よく、この様な規制強化を作った後に「現場を知らない役人が作った」と批判されますが、事件発生後の憤った世論等を納得させ、かつ、現場やお客様に不自由を感じさせないルールを作るというのは至難です。
 また、明文化されてしまうと、それが法律であれガイドライン的なものであれ、緩和・撤回するには相応の必要性及び許容性が必要となり、余程の社会変化でもない限り難しいです。裁量行政を復活すべきとは思いませんが、周囲に対して見得を切って振り上げた拳を目立たずに下ろすことに関しては裁量行政に分があります。

 
まさにおっしゃる通りだと思います。
 

 なお、コミュニケーションに関して最近監査法人の方々から話を聞く機会があり、現在の役所と企業との関係と比べると遥かに「濃厚な」コミュニケーションが図られているのに少なからず驚きました。監査のそもそもの目的である企業実態を反映した財務諸表を作成させるという観点からは、コミュニケーションによる情報交換も必要だと思います。しかし、もしこの先、監査がらみで一般投資家が損害を被るような事件が起きたら、会計士・監査法人の世界も役所の辿った道を辿ることになっていくかもしれませんね。

会計士を目指されている方に申し上げるのもナニではありますが、いや、もう「監査がらみで一般投資家が損害を被るような事件」はいくつも出て来てますし、明らかにその道を辿りはじめていると思いますよ。
 
先日ちょっとだけホッとしたのは、ベンチャーキャピタルさんの件。
ベンチャーキャピタルのファンドも金商法の規制を受けることになったので、それによって不確実性の高いベンチャー企業に対する投資が萎縮するなどの弊害が発生しているんじゃないかとかなり心配していました。
もし仮に、
「投資の意思決定について、GPとしての善管注意義務を十分果たす態勢となっているか?」
といった検査マニュアルでもできたりしたら、(ベンチャー企業なんて、成功するかどうかはやってみないと全くわからないわけですから)、どこまで注意してもし過ぎということが無くなっちゃいますから。
しかし、
「それはあんま、感じないですね。なぁ?」
とのご回答を得て、ホッと胸をなでおろした次第です。
(金商法がらみで、唯一、萎縮してない領域なんじゃないかな、とも思いました。)
ベンチャーキャピタルさんは、日本の新たな産業の芽を育てる大切な役割を持っているので、ここが萎縮しないようにしていただきたいと、切に願います。
(ではまた。)

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4 thoughts on “「監査法人」にも当てはまる

  1. さきほどはスレ立てありがとうございました。
    アルファブロガーのかたに立てていただけるなんて光栄です。
    なんだか、一日に4つもスレが立っているので、そのついでにコメントさせていただきます。
    上記のファンドのお話ですけど、この毎日新聞の記事はすでにご存じと思いますが、昔流行ったDPOスキームを投資事業組合をかませてやっておられるようです。
    http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080530k0000m010019000c.html?inb=rs
    http://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/2649.html
    渡辺大臣にも質問が行っていることですから、SESCはどうするんでしょうね。
    =======
    東卸債務帳消し:参院財政委で調査へ 農水省と中小企業庁
     築地市場(東京都中央区)の仲卸業者でつくる東京魚市場卸協同組合(東卸)の債務9億7500万円が、都の出資する中小企業再生ファンドの介在で事実上帳消しになった問題について、農林水産省と中小企業庁は29日の参院財政金融委員会で事実関係を調査する方針を示した。大塚耕平議員(民主)の質問に答えた。
     東京都が25億円を出資して04年に設立した「東京チャレンジファンド投資事業有限責任組合」は05年3月、9億7500万円の債権を農林中央金庫から購入。直後に債務者の東卸に4500万円で転売し、差額9億3000万円が帳消しになった。
     大塚氏は誰がこの帳消し分を負担したのかをただしたが、各省庁はいずれも「個別の取引」を理由に回答を拒んだ。渡辺喜美金融相は、一般論と断ったうえで「不透明な取引が日本の金融市場のイメージを損なうことがあってはならない」と述べた。
     東卸は、築地市場移転を巡り賛成派と反対派が対立しており、反対派の理事らは「移転に絡めて、都が(賛成派の)理事長らに便宜を図ったのではないか」と指摘している。【日下部聡】
    毎日新聞 2008年5月29日 18時23分

  2. ご指摘の通り金商法がらみでは直接の影響はないように感じますが、コンプラ強化を遠因にVCの活動は確実に萎縮しています。
    ご存じのように、上場コストの高まりにより新興企業が上場するためのハードルは上がり、業績面では上場可能な企業でも上場を見直すケースも増えてきています。
    (IPOの減少は景気要因も大きいので、全てが規制強化のせいだとはいえないのは承知していますが)
    VCにとっては回収のメドがたたないわけですから、当然投資には慎重になります。以前であればスムーズな上場が(可能性としては)期待できた小規模なベンチャーに対して、上場可能性もしくは上場までの期間という面でシビアな評価をせざるを得ませんから、ベンチャー企業にとっては非常に資金調達が難しくなっていると思います。
    また、これは又聞きレベルなので正確ではないかもしれませんが、投資が本業ではない会社で、金商法対応が負担になるのでファンドを解散する、などというケースもあるようです。

  3. コメントありがとうございます。
    やっぱそうですか。
    そういう傾向が進まないことを、切に願います。
    (ではまた。)

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    築地市場の移転を巡って不可解な金融取引
    東京・築地にある「東京魚市場卸協同組合」(東卸)。問題の取引は05年3月に行われた。東卸が抱える9億…