「活力ある法化社会へ」の議事録

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ちなみに、日経新聞さんのサイトに、先日行われたシンポジウム「活力ある法化社会へ」の議事録が全文公開されています。
http://www.nikkei.co.jp/hensei/comp07/


 
以前のエントリでご紹介した、村上事件判決の「書きすぎ」に関しては、このへんhttp://www.nikkei.co.jp/hensei/comp07/20070905sfa95001_05.html
に掲載されています。
また、本日も某マネー雑誌のライターの方に(先日、株式併合と超大量の新株予約権を発行した)某社の件でインタビューいただきまして、
「これって違法じゃないんですか?」
「政府としては、今後、どういう対応を取っていけばいいと思われますか?」
などと質問されて、どう答えたもんかと「うーん・・・・」だったんですが、、、
この議事録を読み返してみて、改めて、証券取引等監視委員会総務課長 佐々木清隆氏の以下の発言を、大変味わい深く噛み締めさせていただいた次第であります。

すなわち、ここ数年のインサイダー取引や株価操縦等々の問題は、基本的に株式市場の流通段階での問題でもあるわけだが、その流通市場の問題が、実は発行市場に根本的に基因するケースが非常に増えている。
 例えばよく言われる事例として、ある経営の傾いた企業を反社会的勢力なり一定のグループが乗っ取り、その企業を使って第三者割当増資、(株価によって条件が変わる)MSCB等々のファイナンスをする。ファイナンス自体は基本的に証取法の世界で直接規制の対象にはなっていない。証取法上、会社のディスクロージャーの問題はあるが、商品なりファイナンス自体について違法かどうかという判断をする法律の体系にはなっていない。
 証取法は世界中どこでもそうだと確信しているが、基本的に流通市場段階での株価の公正な決定を助けるための法律なので、インサイダー取引や株価操縦等々、基本的に「流通市場の段階での不公正取引」と規定されている。監視委員会に与えられている権限も、そうした流通市場の段階での調査、摘発ということになっている。
 他方、発行市場でのファイナンスについては、これはどう見てもおかしいと思っても「違法」とは言えない。だから、我々はその段階で直ちに「違法だからやめろ」「違法だから調査する」とは言わないし、できない。しかし、当局が直ちに調査なり摘発ができないという隙を突いて、いかがわしいファイナンスをした後に、それが流通市場の段階で株価操縦やインサイダー取引として顕在化する。しかし、その段階で我々が出て行っても、すでに被害や損害が生じ、市場の安定性にも問題が起きているというケースが少なくない。
 このように発行市場との問題が非常に増えてきている。そういう意味で、基本的な方針の中でも「発行市場、流通市場全体に目を向けた監視を行っていく」と言っているのだ。

以上のお言葉に期待すれば、某社については、今、SESCさんで「ガン見」されてらっしゃるんでしょうね。
株式総会も通ってしまって発行自体はできたとして、その後、行使、取得、決算といった局面で様々な開示が要求され、そうした開示の前に売買したらインサイダー取引に該当するケースもあるでしょうから、それらをすべて適法にクリアしていくのは、なかなか高度な知識が必要かと思います。
一方で、佐々木氏もおっしゃってましたが、国際間にまたがったりペーパーカンパニーが介在する取引では、違法の疑いが濃くても、実際に調査、摘発できるかどうかは、また別、だとのこと。
こうした状況の中で、国際間の証券監視当局の情報交換も、想像以上に密になってきていることが、議事録にも書かれています。
http://www.nikkei.co.jp/hensei/comp07/20070905sfa95001_05.html?p=2
(ではまた。)

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2 thoughts on “「活力ある法化社会へ」の議事録

  1. 活力ある法化社会というよりまさに規制のトリレンマに向かっているような気がします。何千ページにわたるQ&Aを読まないと投信ひとつ売れない社会ってなんなんでしょうか。

  2. まったく!同感であります。
    日経さん(三宅伸吾編集委員?)も、まさに同じような問題意識をこめて、このタイトルを付けられたんじゃないかなあ、と想像しながら講演を聴いてました。
    (ではまた。)